令和8年 夏季展 「南画に描かれた櫻井家“清聴軒”と奥出雲」のご案内

令和8年 夏季展 「南画に描かれた櫻井家“清聴軒”と奥出雲」のご案内


今年(令和8年)の可部屋集成館の年間展示テーマは「四季を彩る奥出雲可部屋の風景」です。
6月16日から9月13日までは、夏季展として「南画に描かれた櫻井家〝清聴軒“と奥出雲」をお届けします。

幕末から明治時代にかけて活躍した南画家(文人画家)田能村直入(たのむらちょくにゅう)は日本最後期の文人画家として知られています。直入は明治11年、12年に櫻井家に
逗留し周囲の仙境の景色を描きながら、煎茶などの遊戯三昧の時を過ごしています。

企画展示室正面には、直入の大幅の作品とともに、「槙原眞景」、「清聴軒図」を展示しました。
槇原眞景は幕末期、櫻井家が松江藩の命により鉄の増産を図った「槙原たたら」周辺の景色で、たたら場の高殿や山内(働く人々の住居)、鉄を運ぶ馬など「たたらの風景」が描かれています。右から2番目の清聴軒図は、不昧公が命名した滝「岩波」、借景となる山「寿宝山」そして、直入が意匠した煎茶茶室「菊掃亭」など、現在国の名勝に指定されている櫻井家の庭園の往時の姿が描かれています。

槇原眞景部分(高殿と住居群)

田能村直入は、櫻井家の佇まい全体を“清聴軒(せいちょうけん)”と呼び、周囲の滝や渓流の清い水の流れなど自然の声を聴く風景をあらわしています。


特に、櫻井家本宅のある内谷の四季を十二月の詩と画に描き「紅緑深處」、「風月無盡」という二巻の詩画帳に収めています。この作品も正面ケースに展示しま
した。

直入の来訪目的は京都に画学校(現在の京都市立芸術大学)をつくるための資金集めにありました。当時の櫻井家10代当主・櫻井三郎右衛門直達(貴族院議員)は鉄師であると同時に文化人(号は南谷)でもあり、直達は直入のために住まい兼画室 “一丈庵(いちじょうあん)” を用意しています。
企画展示室左側には、直入と櫻井家の交流や直入の櫻井家での様々な活動に思いをはせる展示としています。

当主、直達の号 「南谷」とその妻の号「春香」の書。
手前は、直入が記した「菊掃亭記」 往時の櫻井家の暮らしに対する印象や、当主直達との深い交流をうかがわせるもの。

直入が意匠した、煎茶茶室“掬掃亭(きくそうてい)”は今も、櫻井家庭園の水上に残っています。
そして、今は現存しませんが“香露亭(こうろてい)“という住居・アトリエの意匠も行っています。この香露亭の意匠図も今回展示しました。

直入愛用の煎茶道具や、
絵画道具

次のコーナーには、直入の弟子、兼本春篁(松江市出身)の作品と、夏らしいガラスの器等を展示しています。

夏季展「南画に描かれた櫻井家“清聴軒”と奥出雲」では田能村直入の絵画と漢詩文を通じて現在の櫻井家住宅並びに庭園を含めた佇まいや奥出雲の風景がそのままタイムスリップし、明治初期の風景としてご覧いただけます。

お誘いあわせお出かけください。