夏季展 ~櫻井家を訪れた田能村直入~
夏季展 ~櫻井家を訪れた田能村直入~ が始まりました。
田能村直入は明治の南画家で、明治11年から12年にかけて櫻井家に逗留し多くの作品を残しています。
単に作品の展示だけでなく、令和2年度の展示テーマの『鉄師が育んだたたら文化』に沿って、当時の当主(10代直達)との文化的交流や、直入の眼をとおして見た明治10年代のたたら製鉄や大鍛冶の様子、人々の暮らし等も感じていただける展示としています。
今回の企画展の見所を紹介します。
企画展示室の正面には、皆さんをお迎えするために、直入の大幅を対で展示しました。その下には「山内12ヶ月画賛詩文」 と題した画帳が展示されています。明治初期の櫻井家本宅や内谷集落の様子、大鍛冶屋の様子が描かれています。また、それぞれの画には直入の思いが詩文として添えられています。(読み下し文を添えてあります。)
企画展示室右手には、直入の紹介や、滞在記録、当時の当主10代直達との交流に関わる品物や、作品が展示してあります。呑谷の渓流や槙原鈩・槙原山内なども掛け軸の中に見ることができます。
左手には、直入のふすま絵の前に、絵画の道具や、煎茶道具そして、夏らしくガラスの器などを展示しています。
常設展の櫻井家と松江藩の関係や櫻井家のたたら製鉄の展示も可部屋の特徴を伝えるため充実させています。
櫻井家の始祖である戦国武将 塙団右衛門(ばんだんえもん)、そして嫡男 櫻井直胤(なおたね)続く櫻井家の歴史のコーナーも充実。櫻井家に大切に保存受け継がれてきた「居城受渡覚書」には、広島城が福島家から浅野家に引き渡されたときの詳細が記録され、今回その全文を紹介しています。
国の名勝 櫻井家庭園の「岩浪の滝」も、先日清掃をして、よりシャープな印象を与えています。
また、田能村直入の意匠による煎茶茶室 掬掃亭(きくそうてい)の前には河骨(こうほね)の花も咲きました。
直入の「山内12ヶ月画賛詩文」にも櫻井家住宅や庭園の様子が描かれています。あわせてご覧ください。