昨年の夏、金屋子神社の遷宮をしました
出雲大社や伊勢神宮で遷宮があった昨年、実は櫻井家でも遷宮をしました。
数年前の大雪で倒壊した、鉄の神を祀った金屋子神社の遷宮です。
昔、櫻井家のまわりにあった大鍛冶屋というところで、たたらから出た鉄を練鉄にして出荷していました。大鍛冶屋のために鉄の神を祀ったのが、金屋子神社です。約300年前に建てられました。
金屋子神社は小さなお宮ですが、国の重要文化財です。
修繕工事が完了し、移していたご神体を戻すための「奉修復金屋子神社正遷宮鎮座祭」を7月19日に行いました。夏の暑い一日でした。
まずは参拝の前に手を洗って身体を清め、鎮座祭を始める前に一度金屋子神社に参拝します。
金屋子神社は櫻井家住宅の裏山に建っています。蔵と家のあいだの石段を上り、裏山に向かいます。
山の上の金屋御神社に行くのはちょっとした運動です。下から見上げると、崖の上にあるように見えます。神主様を先頭に、当主……と続きます。昔ながらの山道です。
神主様のお祓いのあと、祝詞をあげてもらいます。その後、榊をお供えします。
つぎに、金屋子神社の倒壊後、ご神体が仮に祀ってあった鎮守神社に参拝します。鎮守神社は家の前の川の向こう(ちょうど家を挟んで金屋子神社とは逆の位置)にあります。
鎮守神社は、尼子の時代に尼子が建てたものです。元は御坂山(現猿政山)にありましたが、大洪水で山が崩壊した際に流失したため、その建物をこちらに移して鎮守神社と称しました。県の有形文化財に指定されています。
ここで金屋子神社と同じようにお祓いがあり……
鎮守神社に祀ってあったご神体を当主が、過去の遷宮の歴史が書いてある棟札を家族が持ち、金屋子神社に返す還元祭に移ります。
ご神体は神輿に入り、男衆にかつがれて再び金屋子神社に戻ります。
修復された建物についてですが、使える部材は昔のままのものを使い、できるだけ元のまま復元しました。写真は今回の棟札と、お社の彫刻です。細かいところに、このように彫刻がしてあり、掘り物も建立された当時のままのものです。
そしてまた同じように神事があり、修復されたお社にご神体や棟札は戻され、遷宮鎮座祭は終了となりました。